淺井裕介 ASAI Yusuke

プロフィール

滞在制作する各々の場所で採取された土と水を用い、動物や植物を描く「泥絵」やアスファルトの道路で使用される白線素材のシートから動植物の形を切り出しバーナーで焼き付け制作する「植物になった白線」など、条件の異なったさまざまな場所で作品を展開する。東京代々木公園入口に白線の作品がある。インドの学校を舞台にした「ウォールアートフェスティバル」やアメリカ、フィンランド、中国など多数の国際舞台で活躍。

《野生の合奏》
展示会場:猪苗代中学校
制作期間:2019年10月23日~11月4日
学校の中に外から来た大人たちが土で絵を描くってどういうことだろう?

土地の土を乾燥させ、砕き、ふるい、キメを整え、水と少しの糊を混ぜて教室の中で作られるべき形を探す。土地の人、外から来てくれた人、学生たち、先生方、多くの人たちの手を借りて絵を描いていく。
3年後には改修工事で壊されてしまうことの決定しているこの場所に、オンラインには乗ることのない対面し接触していくことで生まれるものを残してきました。その場所で絵を描くということはそこにある種の記憶を紡ぐということで、遠くに離れたところからも絵のことを思っています。

《風と命と大地のカケラ》
展示会場:翁島小学校
制作期間:2019年10月26日

子供たちへ
黒っぽい土が翁島小の土、黄色っぽいのが土津神社の土です、全校生徒(と職員)の手形をもとに生まれた様々な生き物、それらが風の神様と共にのびのびと飛び回っています。よく見ると足形も! 鳥や獣や人のようなものもいるよ、それぞれ何匹づついるのかな?

大人の方へ
手を打つという行為には昔から様々な意味が含まれています。久しぶりに会った友人や去っていく仲間たちに力強くハイタッチをして別れるように、泥の手形を残す時、子供たちはこの土地そのものである土に触れ、慣れ親しんだ学校へ触れます。土を手に塗りたくる時の肌に残るくすぐったさ、壁に叩きつけたときのジンと痺れる感じが彼らの心象風景の中にうっすらと溶け込んでくれるといいなと思います。(淺井裕介)